その日はひどく雨が降っていた。その雨の中、一人たたずむ人の影が・・・いや、正確に言えば一人ではなかった。その足元には、一体の死体が横たわっていたのだ。びしょぬれのままたたずむその人間の顔は、死体と同じように青白く、そして寒さのせいか震えていた・・・




    ある日、ヤスオは山梨にあるキャンプ場にきていた。やはり一人でキャンプというのはとても気分がいい。自然の中でこれ以上無いほどの開放感を味わえるからだ。「しかしこの雨ときたら何やネン!!!流されてまうで!」そんな風に悪態をつきながらヤスオがロッヂに戻ると、男女3人ずつのグループに出くわした。やはりキャンプ場というロケーションからか、彼らはとてもさわやかな笑顔で挨拶をしてきた。
「はじめまして。私たちはケントブリジット大学の心霊スポット研究部です。今日からこのロッヂに三泊させていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。あ、ちなみに私の名前は、磯貝 健二といいます。一応部長でしてね。」
と、少し茶色い髪を掻き揚げ、おおよそ心霊現象などには興味なさそうな男、磯貝はヤスオに右手を差し出した。
「こちらこそよろしくお願いします。」
そういってヤスオは彼と握手し、白い八重歯をのぞかせた。
「原口 奈々子です。」
と、片耳に大きな金のピアスを光らた、キャバ嬢みたいな女が言った。
「俺は松村 泰孝」
そういって色黒の男が差し出した太い腕には、三本の高級そうな腕時計が金色光をはなっていた。よっぽど金持ちなのだろう。
「ハーイ。マイネームイズ、ツヨシ。日本人トアメ〜リカンのハーフあるネ。」
左右の目の色の違う男が手を差し出した。
「私たちは、ニナとアヨだよ♪」
見分けのつかない女二人が同時にしゃべった。ヤスオは両手で握手をしながら言った。
「ところでどっちがニナさんですねん?見分けがつきませんわ。」
「え〜っと・・・赤いピアスしてるのがニナで、青いピアスしてるのがアヨなの。」
「そうでっか。ほなこちらがニナさんやな?よろしう。」
そういってヤスオは握手したままの右手を上下に振りながらいった。
「ところで私たちの部屋はどこですかね?」
磯貝がさわやかな口調でヤスオに尋ねたので
「ほなみなさん、このロッヂの中のこと案内しますさかい、ついてきてください。」
と、ヤスオは調子に乗って案内を始めた。

「このロッヂには部屋は四つあってな、そのほかに玄関はいったら正面にスライド式のドアが見えるやろ?そこが集会室ってな感じに全部で五つ部屋があるわけや。で、ここがウチの使ってる部屋ですねん。このロッヂは知る人ぞ知る隠れた名ロッヂでな、南側の窓から富士山が見えんのや。せやからウチはキャンプするときはここの部屋って決めとんねん。」
そういって誰も聞きたくも無いような話をうだうだしているうちに、心霊研究部員たちは自分たちの部屋を決め、荷物を入れていた。
「ヤスオさんありがとうございます。今日は雨なので荷物の整理でもしたら、夜はみんなで飲みながらトランプでもやりましょう」
「おお、磯貝君。ウチも呼んでくれるんか?それはおおきに。」
そういってヤスオは部屋へと戻っていった。



「アー!!それポンですネ!」
ツヨシが叫んだ。トランプなのに何かを勘違いしているらしい。
「シィィット!やっぱヤスオさん強いっすワ。」
エースのフォーカードで一人勝ちしたヤスオにツヨシが言った。
「今日はこの辺にしておきましょうよ。」
磯貝の一言でみんながそれぞれの部屋に帰ろうとしたとき、アヨが騒ぎ出した。
「あー!ピアスが無い!!何処に落としちゃったんだろう・・・」
みんなで集会室を探し回ってみたものの見つからなかったため、部屋を探すといってアヨは帰ってしまった。少しの間もう一度集会室を探し回っていたみんなも、あきらめて、奈々子と松村を残して部屋へと帰ってしまった。しばらくの間、ヤスオと奈々子、そして松村の三人で残った酒を飲みながら雑談をしていた。
「松村君はなんでそんないいガタイしとんねや?」
「よくぞきいてくれた!実は俺、ボクシングやってるんです。この前の試合なんてすごかったんですよ。3ラウンド目のあの時なんて・・・・・・・」
「あーあ、また始まっちゃったよ。泰孝の自慢話。」
奈々子がいやみを言っている間も、泰孝の話は続いていた。
「そのとき相手が一瞬隙を見せたんですよ。そこですかさず右アッパー、そしてとどめに黄金の左ストレート!!いやー、これで何人倒してきたことか・・・」
そういってシュッシュッとふりをした。
「それよりさ・・・」そういって奈々子は右手で長い髪を耳にかけた。
「ヤスオさんの話がききたいな・・・」
潤んだ瞳でヤスオを見つめる奈々子。あらわになったピアスの振動がヤスオの頭をボーっとさせた。
「おいおい、こんなとこでいい感じになっちゃ困るよ。続きはヤスオさんの部屋でやりなさい!!」そういって松村は帰っていった。ヤスオもあわてて部屋に帰り、奈々子一人だけが残った。

 次の日、昨日の雨はすっかりやんでいた。ヤスオは飯ごうで米を炊き、ホカホカのご飯をほおばっていた。
「おはようございます。」
松村がびしょぬれで森のほうから現れた。
「おはようさん。そんなずぶぬれでどこいっとってん?あんさん。」
「いやー、朝のランニングですよ。さっきまで雨はまだ降っていたもんですから。」
「さっきっていつやネン?」
「朝の五時っす!」
「あんたそれマラソンやで!!」
ヤスオの鋭いツッコミがきまった。もう7時だ。かれこれ2時間以上は走っていたことになる。どんな体力やねん。
 朝食を取り終えると、昨日の面子がぞろぞろと集まってきた。
「おはようございます。ところで奈々子何処にいるか知りません?」
磯貝が言った。
「しらんなあ・・・昨日は一人で集会室におったみたいやし、今朝は6時前からここにおったけどみとらんで。」
「そうですか・・・どこいったんだろう・・・」
        チャリン!!
そのとき磯貝が何かを踏んだ。
「それは奈々子の・・・」
金色の大きなピアスだ。ヤスオは今まで全く気づかなかったのだが、ロッヂの入り口に落ちていたのだ。
 その日の昼、いまだに奈々子は姿を現さなかった。ヤスオと磯貝は少し心配になったため、奈々子を探しに行くことにした。少し歩いていくと、磯貝が何かを見つけたようだった。
「あ、あれは・・・?奈々子??」
走りよった二人は言葉を失った。それは体を焼かれ、顔を刃物で切り刻まれた女の死体だった。
「ァ、アヨはん・・・」
その死体の右耳には、アヨのトレードマークの青いピアスが光を放っていた。そして右手には、何かを握っていたのだろうか・・・?何かの跡があった。
ヤスオと磯貝がロッヂに帰ると、そこでも騒ぎが起こっていた。なんと奈々子のベッドから遺書が見つかったのだ。

”わたしはこれからアヨを殺してしまいます。理由は言えないけれど、私はアヨを殺して自殺します。奈々子”

「そ、そんな・・・」
「そういえば昨日の夜・・・アヨ見た・・・ネ」
ツヨシが言った。
「夜目が覚めたとき・・・外歩いてるの見たアルよ。」
「ホンマか?何時ごろ?」
ヤスオが尋ねる。
「たしか・・・夜中の二時過ぎだったネ。青いピアスしてたから、まちがいないダベさ。」
「そうか。」
「あと・・・手になんか持ってたでゴワス。」
「何かはわからなかったのか??」
「何か光ってたから、ナイフかもしれない・・・デスタイ。」



というわけで問題です。犯人は誰でしょう。明確な根拠もつけてください。
ヒント:共犯はありません。
ってゆうかこんなの解いてくれる人いないんじゃないの???笑
というわけでちゃんとした正解者には抽選でお宝CD??をさしあげます。BBSでみんなで考えるのもあり!!答えはBBSでもメールでも何でも可!どしどしかかってこい!

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